ハワイアンキルトについて

aicon2.gifハワイアンキルトって?

今から200年前にアメリカの宣教師の妻達によって、ハワイの王族の女性達に伝えられたパッチワークキルトが、ハワイ独特の進化をしたものです。

ハワイの自然をモチーフにしたシンメトリーなデザインで、主にクッション、タペストリー、ベッドカバーなどが作られます。

 

現地の人はハワイアンキルトでバッグや日用品を作ることはほとんどありません。

これは、アメリカの移民が小さな端切れも大切にし、それを縫い合わせて日用品を作ったパッチワークとは違い、ハワイでは貴重な布を使って作る芸術工芸品として広まったという歴史的な違いがあるからでしょう。

 

昔はその一族に伝わる模様があり、それは門外不出の秘密とされていました。また人のデザインを真似することは、その人の命を盗むことと同じとされていました。

 

現在では、ハワイアンキルトのデザインは広く公表されているものもあり、自由に作ることができます。そして、愛する家族や友達のために、キルターは思いを込めて作ったものを贈ったり飾ったりしています。

 

*願い事が叶うキルト*

 

ハワイの人々は、自然にあるものは全てにマナ(霊力)があると信じており、それを写したハワイアンキルトにも、同じ力が宿るとされています。

そして、マナの宿るデザインを、キルターが願いを込めて作ると、それが叶うと言われています。

 

例えば、ファーストキルトでウル(パンの木)を作ると、後々食べることに困らないという言い伝えがあったり、病気の祈願をして作ったキルトを送ったら、その病気が治ったりというお話がよくあります。

 

*不思議な力*

 

キルターの思いが込められたハワイアンキルトですので、ハワイアンキルトは踏んだり、お尻に敷いたりしてはいけないとされています。

 

また、四つ足の動物や人間をデザインしたキルトを作ると、それに命が宿って夜中にキルトから出てくるそうです。(貞子みたいですね!)


ジョンも私も体験した本当のお話。飛ぶことができる生き物(鳥、虫、コウモリなど)をデザインしたら、そのキルトを作った人が、遠くに去っていくのです。ですので、よっぽどお願いされない限り、飛ぶ生き物はデザインしないんです。

 

不思議なお話がいろいろあるのは、ハワイアンキルトならではです。

 

aicon2.gifハワイアンキルトの歴史

ハワイでのキルトの歴史は、1820年、アメリカの宣教師の奥さんたちがハワイの王族の女性にキルトを教えたのが始まりです。

当時のキルトは、いわゆるパッチワークキルトでした。小さな布をつなぎ合わせて作るキルトです。ハワイには、それまで木綿でできた「布」は無かったので、アメリカから持ってきた大きな布をわざわざ小さく切って作ったそうです。

ハワイの女性たちにとって、その作業は「???」という感じだったでしょう。

 

ハワイアンキルトが今の形になった経緯はまだはっきり解っていません。

 有名なのは白いシーツを干していたら、オヒアレフアの花の陰がうつったのを見てそれを模様にした....という説です。

 

ここからは私の想像ですが.....

 ハワイには、伝統的な布「カパ」がありました。ハワイの人たちは、カパに幾何学模をつけるのですが、オールドキルトを見ると、キルトにカパの模様を取り入れているものがあります。

 

幾何学模様の布を作るには、布を折って切っていくとシメントリーな模様が簡単に出来ますね。

 

布を折ってカパに似た模様を作っていくうちに、今のように折った布を模様に切り抜いてアップリケをするようになったのではないか.....と思うのです。

 

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上の写真は、ポアカラニ先生のお祖母さんにあたる、キャロライン コレアのデザインしたもので、100年以上前のものです。2000年初めにキャロラインの描いたデザインが大量に屋根裏部屋から発見された一つで、私が作るのを任されたものです。

 

 このデザインは、ハワイの人たちの主食であるタロ芋とその花のデザインです。カラーに似た白い花が咲きます。100年前は至る所にタロの畑があったのでしょう。歴史的資料としても貴重なデザインです。

 

 

ハワイには悲しい歴史があります。ハワイにやって来た宣教師達はキリスト教を広めるにあたりハワイの神々を邪神とし、ハワイの生活文化を否定しました。

胸を隠す為に女達にドレスを着せ、フラは禁止されました。

欧米の影響を受けハワイ文化が失われつつある中で、ハワイアンキルトはその模様の中にハワイらしさを込めて来たともいえます。

ですから、ハワイアンキルトは、ただの手芸ではなくハワイの文化を象徴するものなのです。

上の写真はタロ芋の模様。タロ芋はハワイの人たちの主食ポイの材料です。また、芋同士がつながって増えていくので、家族の象徴でもあります。ポアカラニのおばあちゃんは、このデザインにどんな意味や願いを込めて描いたのでしょう。

昔のハワイに思いをはせて作るキルトはその歴史分の重みを感じます。

aicon2.gif John Serrao and Poakalani

ハワイでも屈指のキルターであったポアカラニ先生とデザイナーの第一人者ジョン セラオ先生が教えるハワイアンキルトの教室が、イオラニパレスで開かれています。

 

お教室は、現地の人だけでなく、日本から本格的にキルトを習いに来る方で、賑やかで和やかな雰囲気です。

ポアカラニ先生は2013年に闘病生活の末、お亡くなりに成ったのですが、ジョン先生は、精力的にデザインをし、ハワイアンキルトを後世に伝えることに尽力されています。


ジョンは、デザインをする時何故か"1,2,3, 1,2,3,"とカウントしながら、太い指に太いペンで下書きもなしに描いていきます。その線には迷いが無く、あっという間にすばらしいデザインを描き上げてしまいます。彼がカウントしている時、天からインスピレーションをもらっているのでしょう。

ジョンのデザインするキルトにはマナ(霊力)がやどるといわれています。

  

私は、この二人に出会い、ハワイアンキルトを教えていたいて、なんと幸せなんだろうと思うのです。

 

Poakalani公式ホームページこちら

 

aicon2.gif Poakalaniのキルトの特徴

同じハワイアンキルトでも先生によって、少しずつやり方に違いがあります。どの方法もそのキルターが長い時間の中で作り上げた工夫の結果です。
ポアカラニの一族に伝わるキルトの特徴を少しだけご紹介します。

 

echo.jpg*ぷっくりとしたエコーキルト*

厚みが2cmほどあるキルト芯を使います。ハワイアンキルトの特徴のエコーキルトはこの厚いキルト芯のおかげで、ぷっくりと膨らんで美しい陰影を作ります。

 

*細かい縫い目*

アップダウンキルティングという方法でキルトしていきます。
熟練のキルターは、厚いキルト芯でもこの方法で1センチの中に4目という大変な細さなキルティングができるのです。

 

*キルトラインを描かないので、出来上がりが美しい* 

一目一目キルティングすることにより、均一な幅にエコーキルトをすることができます。
ラインを描かないことで、汚れや消す手間もありません。
ポアカラニ先生によると、これがポアカラニのキルターの熟練したところ、とのこと。
難しいようですが、上手にできるコツなどをお教えしますので、安心してくださいね。

 

 

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